2015年12月号 2番はビリと同じ?

更新日:2015/12/10

小学生の僕には2つの夢があった。1つは医師になること。もう1つはスポーツの全国大会に出場し活躍することだった。陸上、野球、ソフトボールと活躍した僕は、意気揚々と中学に入学した。 当然ここでも1番になるはずだった。 野球と陸上部で最後まで悩んだ僕は、最終的に陸上部に入部した。しかしここで将来日本を制する才能と衝撃の出会いをする。2年生のH先輩はスポーツ心臓の持ち主で、3年生の時には3000メートルで全国2位、西脇工に進み、高校2年の時に都大路を駆け抜け駅伝日本一となる。『2番はビリと同じ』当時の僕はスポーツをする時こう考えていた。懸命にクラブ活動にうちこんだけれど、両方の足がアキレス腱周囲炎になり、満足に走れなかった。長距離、短距離両方得意な僕は、短距離に活路を見出そうとも考えたが、将来日体大に進み、野球部のエースとして活躍、プロ野球のスカウトも注目したI君が同級生にいて、彼を抑えて短距離で学年一になったこともあったが、冷静に判断すると、彼が一枚上手だった。自分の才能に早く見切りをつけてしまったかもしれない。全国トップクラスにはなれなくとも、スポーツで、何らかの実績を残せたのかもしれない。陸上部以外からもレギュラー待遇で声がかかったが、僕は失意のうちに帰宅部になった。クラブを辞めても、陸上の大会に学校代表に選ばれて、中学三年の夏もグランドにいた。しかし僕にとって、付録のような競技生活にしかすぎなかった。

その後の僕にとってスポーツは自分の体を痛めつけても、勝ちにいくものではなくなったが、大学生時代に一度だけ真剣勝負をした。K大学医学部入学早々行われた合宿でアームレスリング(腕相撲)大会に出ることになってしまった。ここで僕はあっさり優勝し、終了と思ったところで、満を持して昨年度のチャンピオン登場となった。聞いてないよ!先輩は柔道部らしく、既に上半身裸で臨戦態勢だ。こっちは先月まで、受験生ですよ。しかも浪人生ですよと思ったが、時既に遅し。ここで逃げたら男ではなかった。それにしても先輩は凄い筋肉だ。日々トレーニングを積んでいるんだろう。よし、ここは真剣勝負だ。負けても失うものはなにもない。

勝敗は一瞬で決した。勝ち名乗りをあげたのは僕だった。

海辺に年老いた僕はスポーツカーで登場する。まだ見ぬ君はアームレスリングであっさり僕を負かせてくれよ。僕は颯爽と立ち去る。このセリフを残して。『今日はこのくらいにしといたろ。』

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