2017年4月号 アーティストは偉大だ

更新日:2017/04/11

   東山魁夷 「朝静」を購入した。3月よりリハビリ室にかけてある絵がそうです。美しい緑に心が和みます。絵を購入する際には「本物」であることにこだわります。美術館で直接絵を鑑賞するとコピーや写真の絵とは異なり作家の息吹を感じることができます。これは音楽にも通じるところがあって、ライブで音楽を聴くと心揺さぶられるものがあります。
   医師という職業はサイエンティストでもあり、数学、理科が得意な人が多い。僕は数学は好きではありましたが、子供の頃から実は理科はあまり好きではない。物理、化学とも受験生としてはトップクラスではあったけれども、それを専攻することはなく、生物も個々の細胞レベルで人体の神秘を感じることはあっても、それ以上に人間が何に心を動かされるのかといった芸術や文学や映像の世界の方に関心があったからです。
   突き詰めると僕の場合は物理の公式に感じる美しさより、東山魁夷の絵に感じる美しさの方が優っているということです。
   科学の功績はシンプルな法則で現象を説明しようということであり、再現性があり誰でも同じ結果がでる。一方、心を持った人間は多種多様でこうすると上手くいくという対人のマニュアルがあるわけではない。そこが難しいと同時に楽しいところでもある。
   人を感動あるいは幸せにすることを仕事にできれば素晴らしいと思う。スポーツ選手はそのプレーで、ミージシャンはその音楽で、レストランのシェフはその料理で。
   今は医学部がブームで志願者が多いらしいが、安定やステイタスで医師を目指すのはどうかと思う。世間の評価はともかく、僕は一流のパティシエの方が、志のない医師より、人を幸せにすると思う。美味しいケーキをつくれるのはその仕事が好きで、その道一筋に打ち込んだからでしょう。
   親や学校の先生に勉強ができるから医学部をすすめられたというのはやめて、自分が何を職業にすると世の中に貢献できるかを考えて欲しい。数学、物理が天才的にできて、それが好きな人は理学部に行けばいい。芸術が得意な人はアーティストを目指せばよい。
そして医学部を目指す人は、人を愛せる人であって欲しい。受験科目だけでなく、もっと幅広い教養を持って欲しい。一流の受験生になることではなく、一流の人間になることが目的だからだ。
僕は人から尊敬される医師としてではなく、人から愛される医師として人々の記憶に刻まれたい。

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