2017年8月号 白球を追え!

更新日:2017/08/08

   S君が小3で転校してきてから僕たちは毎日のように野球、ソフトボールをして遊んだ。S君は3人兄弟の長男で3人とも野球をしているスポーツ一家だった。春、夏に行なわれたソフトボール大会では市内大会を勝ち抜いて、地区大会を戦う主力をS君と僕は担っていた。度々S君は土曜の午後に行なわれていた野球のスポーツ少年団に僕を誘ってくれたが、習い事の書道をやめなければならないということと吉本新喜劇が見られなくなるという理由で断わっていた。それでももちろん僕達は友達だった。ところが、夏のソフトボール大会決勝でちょっとした事件がおきた。決勝戦、我がチームは大量リードし、サードを守っていた僕はコーチの指示で、S君と交代した。楽勝ムードの中ひとりでも多く試合に出そうという意図があったと思う。ところが相手チームに追い上げられ、最終回、三塁線をぬける長打で逆転負けを喫した。問題はここからで、応援に来ていた父兄から「恵三君を交代させなかったら勝てた。」という意見が出始めた。春、夏とも僕は公式戦、練習試合とも失策なしで、僕のところへ打球が飛ぶと打者走者はどうせアウトだろと走らないことがあったぐらいだったので、3塁線の打球も僕ならアウトにできただろうということだった。スポーツの世界でもチヤホヤされていた僕はまわりからそう言われて、自分があのまま試合に出ていたら勝てたと信じた。この一件は中学のクラブ選択にも大きく影響を与えていて、野球部にも誘われたが、個人競技の陸上競技に入部した。
   S君とは進学した高校が別だったこともあり、あまり会わなくなっていたが、僕の結婚式に出席してくれたり、僕が地元で行なった講演会に彼のお父さんが参加してくださったりした。S君は高校を卒業してからもずっと野球を続けていることは風の便りで聞いていた。そして昨年少年野球の指導者として、全国大会で準優勝した。S君おめでとう。そして君に僕はずっとあの日のことを謝りたいと思っていた。あの夏の日逆転負けしたのは決して君のせいではない。僕達はずっと一緒に戦ってきたんだ。朝から晩まで夢中で白球を追っていた。君が捕球できなかった打球は僕も捕球できなかっただろう。でもあの時一瞬自分なら勝てたかもと思ってしまった僕を許して欲しい。おそらくS君はこう言うだろう。「俺、野球の試合いっぱいやってるから、そんな昔のこと覚えてないよ。それより整形外科医だろ。スポーツ障害について教えて。」
   S君のお父さんは僕の講演会の時に「うちの息子も野球ばっかりしていないで、先生(僕のこと)のように仕事を頑張ってくれたらな」と仰っていましたが、僕は好きなことに打ち込んでいるS君はカッコイイと思う。ぜひ全国制覇を目指して頑張って欲しいと思う。そして全国制覇したその暁には、僕の好きなシャンパンで昔話に花を咲かせながら乾杯しよう。

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