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2020年7月号 医療従事者の慰労金

2020年7月号 医療従事者の慰労金

2020/07/10

   慰労金は、感染や重症化のリスクが高い中で、継続して医療を提供しなければならない医療従事者・職員への感謝・慰労を目的に5万円〜20万円が支給される。都道府県から新型コロナ対策の役割を設定されていない医療機関でも、その医療従事者・職員が、日常診療患者さんと接している場合には、1人につき5万円が支給されることが、2次補正予算で増額された緊急包括支援交付事業として決定しました。

   当院では国の方針なら私を含めて10人のスタッフが条件を満たすため県に申請後、8月末から9月に50万円が支給されることになります。ただ実際に振り込まれるのは遅れることが見込まれるため、私が立て替えて早めに当院スタッフに支払おうと考えました。晴れてから傘があっても役立ちません。雨が降ってる最中に傘は必要とされます。いろいろな事情があるのでしょうが、政策達成のスピードに不満を持つ国民が多いのは皆様ご存知の通りです。

    しかし話はここでおわりません。ニュースでご覧になった方もいらっしゃると思いますが、慰労金の財源は100パーセント国であるにもかかわらず、兵庫県は知事の判断で15万円支給に該当する医療機関には支給を行わないことが再三報じられています。このような判断をされた都道府県は兵庫県のみです。また医療従事者にとってショックだったのは、知事がご自身の口で何もしていない人にどうして支給しなければならないのかという主旨の発言をされたことです。

    私は兵庫県で生まれ、兵庫県で育ちました。兵庫県で学び、兵庫県で医療に従事してきました。兵庫県が大好きです。しかし今回兵庫県のトップから私達がこの数ヶ月感染に気を使い、大袈裟でなく命を賭けて行なってきた医療を全否定されてしまうような言葉に耳を疑いました。

   兵庫県の医療関係者は怒りや失望の気持ちを表明されています。この問題について私なりの意思表示をすることにしました。毎月行う本日79日のミーティング・勉強会で予定通り15万円を私はスタッフに支給しました。全国的にまだ申請も始まっていないでしょう。兵庫県は支給されない可能性もありますが、リスクは院長である私がすべて負います。支給されなければ、すべて持ち出しになっても構わないということです。

    私も一生遊んで暮らせる資産を持っているわけではありませんし、他の医療機関同様当院でも、特に45月は例年に比べると減収です。しかし自分の生活だけではなく、自分についてきてくれるスタッフの雇用と健康と生活を守る努力を最大限行うことが緊急時の今こそトップに求められる姿勢でしょう。私にとっては一大決心ではなく、常日頃このみみよりつうしんでも述べてきた考えを実行しただけです。

   新型コロナ感染で、世界でも国同士が対立しています。国内でもいろいろな対立がある。またこの混乱時に詐欺や不正受給も残念ながら当然ある。しかし疑うより信じる方が、対立するより協調する方が、憎むより愛することを私は求めます。現在評判の悪い県知事に対し、私は品のない批判や人格攻撃は行いません。何か誤解があるのかもしれません。わたしの大好きな兵庫県の人々が選挙で支持してきた県のトップが再考され、心に響くご判断をされることを信じたい。結果はどうなるかわかりませんが、私は自分の信じる道をすすむのみである。