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2016年3月号 天才論

2016年3月号 天才論

2016/03/09

  恥ずかしながら僕は二十歳の頃まで、傲慢にも自分はもしかしたら天才ではないかと思っていた。最近ネットニュースで、某芸人のIQ(知能指数)が135で、東大生の平均IQ120を上回っていることが、話題になっていた。また世界的高IQ集団MENSAの入会資格が、IQ140以上であることから判断すると、学生時代に何回か行われたIQテストのすべてで150以上(測定不能)をたたきだした僕はIQという尺度では天才の有資格者だったのかもしれません。

  しかし僕は天才でもなんでもなかった。世間では勉強ができたり、スポーツで活躍すると、すぐ天才と騒ぐが、単なる秀才や努力家あるいは早熟なだけということが、ほとんどだ。結果を残している人は圧倒的な努力をしていることが、意図的に伏せられていたりする。あまり世間で知られていない天才も存在するのだろうが、有名人でもそれまでの常識を覆すような真の天才というのは将棋の羽生善治、体操の内村航平などわずかだと思う。

  また天才はよほど自制しないとまわりに苦言を呈する人がいなくなって、道を踏み外した番長(元プロ野球のスーパースター)のようになってしまう危険性がある。天才が幸せとは限らないのだ。

  真の天才でも成果をだしている人は、情熱を持って日々、勉強に練習に打ち込んでいるのだから、一般人の我々が勉強、仕事に生半可な気持ちで取り組んでいては大きな成果を残せないのは火を見るよりも明らかである。
どんな世界に進もうと、越えなければならない壁があり、失敗や挫折を皆経験する。そこで逃げ出せば、モノにはならない。苦しくても歯を食いしばって頑張ることが肝要だ。

  また社会で結果を残すためには、謙虚さが必要で、感謝の気持ちをなくしたり、長幼の序が欠如するとたとえ天才でも不遜というレッテルをはられ、いずれ消える。世間には不条理も沢山ある。不運としか思えない出来事もあるだろう。そこで愚痴や不満をもらしていても、何も解決しない。悔しかったら転んでも立ちあがって前に進もう。成長するには、情熱を持って地道な努力を続けるしか方法はない。そしてそれは一見すると大変そうに見えて、実は幸福への一番の近道ではないだろうか。