2016年9月号 和を以って貴しとなす
2016/09/12
開業を決めた際に先ず考えたのは、勤務している病院から患者さんや職員を引き抜くことはしないということです。社交辞令かもしれませんが、有難いことに先生が開業するならついていきますという職員が沢山いました。容姿端麗、仕事もできる方ばかりでしたので、大きな戦力になるのは明らかでしたが、医師一人退職するのにも、後任補充は大変です。ましてや優秀な職員がその他多数辞めると病院は大変です。ちなみに大学医局には遅くとも1年前に開業の意思表示しなければなりません。
よって前勤務地加古川から離れた所で開業すれば、患者さんも職員の方もついてくるのは諦めるだろうと考えました。勤務している病院の上層部は、表向き退職には反対できないでしょうが、大量退職となると決していい気持ちではないであろうことは、容易にわかります。
しかし患者さんとは有難いもので、10年近く会っていないのに、いまだに年賀状で近況報告をしてくださったり、毎年バレンタインデーに高級チョコレートをくださる方もいらっしゃいます。
開業時当院の近隣では、H先生が開業されていましが、私の親世代で当時既に閉院を考えていらっしゃいましので、開業するにあたり近隣の他科の先生からもたいへん歓迎していただきました。同じ大学の同門の先生が近隣で開業されている場所で仁義なき闘いに明けくれるのは私の性格にあっていません。
私の場合はこのように考えて開業しましたが、最近は医師会に入らない方も増えて、トラブルもあるようです。実際利害が絡むと難しいことも多いでしょう。ただ患者さんにしわ寄せがいってはならないと考えます。医師としても一人の男性としても紳士的でありたいと思います。