2020年4月号 survive 切り抜けて生き残る
2020/04/10
僕はカラオケやバーが駄目だという程の堅物ではない。歌が上手くてお酒が飲めるほうが人生楽しいのではないかと思う。今は歌う機会がないため声に艶も声量も無くなってしまいましたが、大学生の頃にカラオケで99点をだしたことは話のタネになってはいるし、お酒もまあ飲める。ワインの試飲会に参加したりもします。しかし自粛をすべき時は自粛しなければならないし、それは苦痛でもなんでもない。2月はじめに予約した4月2日の三ツ星レストランの予約も3月中旬にはキャンセルしました。自粛ムードが緩んできた時期でしたが、感染本番はこれからと踏んでいたので、医療従事者として当然の選択です。プライベートでも開業医は地域の公人だからです。歌がないと生きていけないと言えるのはプロの歌手だし、お酒を飲まないと過ごせないなら、それはアルコール中毒すなわち病気です。
今の時期は年度替りでいろいろなイベントがあり、別れと出会いがありますが、大学生が自粛せずに海外に旅行に行って新型コロナに感染したり、初期研修医が研修終了の打ち上げを開催して長時間の3密状態になり、多数の感染者をだしているのは残念です。ズバリ自分を律することができないんですね。
一方で今日本で多くの医療者は感染の危険にさらされ、マスクをはじめ不足する物資の中、懸命にベストを尽くしています。文字通り命をかけている。院内感染でなく、プライベートで職員が感染しただけでも、風評被害の可能性があります。
一般の人もマスクを買い占めたり、感染者だけではなく、その家族や感染者が入院する病院を差別するのはやめてほしい。残念ながら、100パーセント予防はできません。あなたが感染することもあるのです。医療崩壊すると助けられる命も助けられない。今現実に世界ではそういう状態が目の前にある。僕は大切な人を失いたくない。
日本人は忍耐強いはずです。終息までは長期戦になります。オーバシュートすると早く終息するかもしれませんが、死亡者が多くなります。自分だけが良ければという個人主義ではなく日本人は本来他人を思いやれる国民だと僕は思います。
幸運にも当院ではマスクも消毒液もいろいろなネットワークを駆使して当面心配はありません。スタッフのシフトを組むのにも苦労なく、急に誰かが休んでも、業務に支障がないよう平常時から取り組んでいます。待ち時間対策は以前から行っているし、換気は休日でも行なっているくらいですから問題ありません。3密対策はできています。安心して患者さんが受診していただくよう今後も努めてまいります。
Uruの「あなたがいることで」を聴きながらこの文章を書いた。今様々が業種がピンチに陥っていますが、生活基盤が脆弱なミュージシャンや画伯など、才能溢れるアーティストの生活はフランスのように守ってあげなければと個人的には思います。アーティストにエールを贈る。活動の場が制限され、あなた方は無力を感じているかもしれません。しかしアーティストは私達医療者とは違った形で世の中を変える力を持っている。
公私を問わずお世話になっている多くの方々に感謝します。平時より漫然と過ごすのではなく、危機感を持って職務に従事しなければいけないと常に考えています。新型コロナ狂想曲が終わろうとも、その気持ちは忘れずに覚悟と勇気を持って生きていくことをお約束します。