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2022年3月号 素晴らしきアートの世界

2022年3月号 素晴らしきアートの世界

2022/03/07

 先日、元慶応ボーイにして名経営者、藍綬褒章受賞者でもあるダンディーなMさんから友人の絵画を貰ってもらえないかというお話がありました。ご友人というのはMさんの小学校の同級生で現在第一美術協会会員、西宮美術協会会員の金谷一子さんです。金谷さんは第一美術京都展京都府知事賞、京都市長賞、京都府教育委員会長賞などの受賞歴があります。これまで大学病院や学校にも絵画を寄贈されており、大変有難いお話でしたが、当初は大きな施設でもない当院が寄贈していただく施設として相応しいのだろうかと思いました。
 しかし是非、絵画の写真や掲載された雑誌だけでも見てほしいということでしたので、拝見させていただきました。その中に今回寄贈していただきました「展覧会」という作品がありました。美術の窓(生活の友社)2021年9月号に掲載された作品で、Mさんにクリニックに飾るならこの作品ですと感想を述べてはいましたが、素晴らしい絵画を本当に寄贈していただくことになるとは思ってもいませんでした。かなり大きな絵画でしたので、当院では飾る場所が限定され、業者の方がわざわざ下見に来てくださいました。そして後日、金谷さんも当院にお越しになり、良いクリニックに自分の作品が嫁ぐことができたと喜んでいただきました。金谷さんは当院に片岡珠子の赤富士の絵画があることもご存知で、じっくり鑑賞して帰られました。
 アーティストにとっての作品は、そのひとつひとつが自らの大切な子供のような存在と言えます。その作品を寄贈する施設として当院を選んでいただき、とても光栄に思っています。当院は患者さんも絵画に造詣が深い方も多く、東山魁夷や片岡珠子の絵画を飾っていると喜ばれます。金谷さんの作品も多くの方に観ていただき、きっと患者さんの癒やしになると信じます。
 コロナ禍で多くの展覧会が中止になっていたようですが、昨年開催された展覧会では老若男女の大勢の方が来場されたようです。雑誌に掲載されている金谷さんのお言葉をお借りすれば、「アートは止まらない」。
 日々生活の中で、仕事や新型コロナ対策などにおいては、論理的な思考はもちろん大切です。しかし物事は数字では測れない面があり、人の気持ちや心を動かすためにはアートの要素が必要になってくるのではないでしょうか。医療もサイエンスとアートの両面が必要だという私のこれまでの方針を支持してくださる患者さんも多く、それが今回の寄贈にも繋がっているのだと思います。
 今後もサイエンスとアートにプラスしてエンターテイメントの要素もある唯一無二のクリニックを目指して頑張ってまいります。