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2019年2月号 みみよりつうしんの作り方

2019年2月号 みみよりつうしんの作り方

2019/02/12

   スーパースター矢沢永吉は著書やインタビューで自身のことを「俺」「僕」「矢沢」あるいは「YAZAWA」と様々に表現します。一人称に対して「矢沢」と表現している時は主観的ではなく、自分がファンからどう見られているのか客観視している際に使われるのだと思います。イベントスタッフの手違いで泊まる部屋が、スウィートルームからツインルームになった時に「部屋が無いならしかたないよ。僕は別にいいから。でもYAZAWAがなんと言うかな?」という具合に使われる。私人矢沢永吉は泊まる部屋にこだわりはない。しかし公人矢沢永吉としては困るということでしょう。スーパースターだからこそ発することができる言葉でしょう。

     状況はかなり異なりますが、この「みみよりつうしん」でも私は意識して一人称を使い分けています。あらたまった内容であったり、穏やかな内容は「私」。青春時代など過去の内容が中心だったり情熱がストレートな内容の時は「僕」を使うことが多いです。また一部熱狂的なファンを獲得している三人称「圭一」という三人称があります。これは物語風な文章で登場しますが、登場する他の人物の実名が出しにくい場合や一部内容がフィクションである場合に使います。20142月「笑いのカリスマとの遭遇」12月の「クリスマスイブの約束」はかなりのインパクトを与えたようです。「圭一」のモデルは誰か述べる必要はないですよね。

    毎回つうしんはギリギリまで考えて原稿を書きます。社会的に旬な出来事があればそのことからどう考えたかを医療や自身の経験とリンクした内容にし、予定していた内容を差し替えたりします。日々の診療で感じた事や、過去の経験が今にどう活かされているのかという内容が多いですが、開業初期にはもっぱら医学的知識を伝達する内容としていました。最近は患者さんやスタッフや入職を考えている方に少しでも自分やクリニックのことを知ってもらえるように努めています。

     最近はSNSで一般の人も情報発信することができる時代になりましたが、有能な方が読むと書き手の人としての成熟度や知的レベルはすぐに分かってしまうと思います。読んでいただくに値するクオリティーを保つために自省したり、エンターテイメントの要素を加えることに頭を使うのは私自身の成長にも繋がっています。

    言葉遊びをすることも多いです。例えば昨年の「すべらない話」では文章に「硬い」「固い」「堅い」の同音異義語を不自然にならないように散りばめてみました。タイトルでは「ヒロミゴーより辻本豪」もたいへんウケました。タイトルを許可していただきました辻本先生ありがとうございます。

    みみよりつうしんは私が今、医療や医師という職業をどう考えているのか、クリニックをどうしていきたいのかという思いが詰まっています。弱い人間だった僕が何に悩みそれをどう乗り越えて医学生となり、医師として成長してきたかを綴っています。そこに品のある笑いとエンターテイメント性を加味して成り立っています。今後もみみよりつうしんをご愛読ください。

追伸  過去のみみよりつうしんはホームページでご覧になれます。