2019年12月号 RECIPE(レシピ)
2019/12/11
先月から数多くの医院に対してコンサルティング業務を行っておられる会社が月1回当院に訪問されています。既に小児科、耳鼻咽喉科、眼科、歯科などに対して、患者満足度を高めたり、集患のアドバイスをするなどの業務で、成果を収めている会社です。最近、整形外科の先生からのコンサルティングを求められることが増えたため、整形外科特有のノウハウを学ぶために見学させて欲しいということです。そのみかえりとして、見学して当院の業務改善につながることは高額のコンサルティング料なしで還元しますということです。
私としてはみかえりに過大な期待はしてはいませんが、第三者の目から見てどうなのかという視点は必要だと考えていますし、個人情報は保護するものの、見学に来られて困るようなことは何もありませんので、歓迎です。開業直後から、神戸大学医学部附属病院や神戸市立医療センター中央市民病院の研修医の先生の臨床研修を受け入れているのも同様の理由です。開業して一番怖いのは独断に陥ったり、客観的な視点を失って裸の王様になってしまうことです。
当院より盛業している医療機関は沢山あるでしょうし、理学療法士が多数在籍いるような経営をしているわけではありませんが、それでも当院に学びにコンサルティング会社が来られていることはある意味名誉な事だと思いますので、私が考えている診療の工夫やスタッフのオペレーションなどをすべて公開します。
身近な人や患者さんからは、先生独自のノウハウを公開して大丈夫ですか?他の医院が取り入れて、小林整形外科クリニック以上の施設の広さと人員で診察されると負けてしまいませんか?と心配されます。その疑問には以下のようにドラマのワンシーンを引用して回答いたします。
毎日放送で日曜日夜9時から放送されているドラマ「グランメゾン東京」のワンシーンです。三つ星を狙うグランメゾン東京は新たなメニューを考案して、試行錯誤の後、自信の一皿を創作する。しかし店の見習いがそのレシピをライバル店gakuに流出させてしまう。見習いは資本力のあるgakuはもっといい素材を手に入れ、レシピをもとにグランメゾン東京以上の料理を作ってしまうと、店のみんなに懺悔する。その時、木村拓哉演じるスーシェフや他のスタッフがこう言い放つ。あのレベルになるとレシピを手に入れたからといって、同じ料理はつくれない。素材や気温によって微調整を行なっている。三つ星を目指すなら自分で本物を生み出すしかないと。
ここまでカッコよくいう自信はないのですが、当院の動線やスタッフの長所を見極めながら、当院も診療しています。スタッフが入れ替わると仕事の原則(レシピ)は変わらずとも微調整は常に行なっています。そんな手間暇かかることを地道に行う必要がありますので、他院で取り入れるにはアレンジが必要です。それに現在の当院は完成形ではなく、まだまだ進行形であります。
最新話で三つ星を狙う戦略をインタビューで問われたシェフ役の鈴木京香は目の前のお一人お一人のお客様に満足していただく料理を作っていくと答え、インタビューワにそんなの当たり前でしょ、綺麗事を言うなと罵倒される。しかしその言葉には真理があると思う。他院を必要以上に意識しすぎて、振り回されるのではなく、自院に出来ることを毎日継続して行なっていくことが一番大切なのだと思います。