2021年7月号 消毒用アルコールは善で、飲むアルコールは悪なのか?
2021/07/12
オリンピック パラリンピックを開催するためであれ、選挙対策であれ、新型コロナウイルスワクチン接種が順調に進んでいるのは良いことだと皆が思い始めた途端に、ワクチン不足が問題になっています。当院では私が集団接種会場に出務してワクチン接種をしていますので、特に影響はありませんが、多くの接種希望者や医療機関がキャンセルの連絡などで大変な思いをされたようです。前回のつうしんで打ち手不足の心配はないだろうことを述べましたが、この1か月でそれが証明され、すべてはワクチンが十分供給されるか次第で、国や自治体にしか解決できない問題ですので、もどかしい思いです。現在早く接種されたい方には残念な状況ですが、ワクチン接種は早晩解決する問題です。
首都圏では国民が心配していた緊急事態宣言下でオリンピックやパラリンピックを開催する状況になりましたが、無観客開催は当然でしょう。最近はプロ選手も出場できますが、もともとはアマチュア選手の大会です。出場選手はスポーツの力で感染状況下にある日本に夢や力を与えるような大それた考えは抱かず、必要以上にプレッシャーを感じないように、ただ自分自身のために頑張ってほしいです。政治的だけでなく、放映権などスポンサーに忖度した結果、開催の強行突破が図られるように、現在のオリンピックは商業化されすぎています。開催時期も本来アスリートのことを考えると真夏は避けるべきでしょう。
関西でも第5波がくるのは時間の問題であると考えられますが、お酒を提供するお店だけが、感染対策として営業を制限されたり、休業を要請されるのは、大変気の毒で、物事の本質はマスクをせずに大声で話さないでくださいということです。夜にお酒が入ると時間が長くなり、声も大きくなるのが、問題なのであって、昼間にカフェでマスクをせずに大声で話している集団と感染リスクでいうと大差はないはずです。
ワクチン接種が進むと、次はいつになればコロナ前の生活に戻れるかが問題になります。あたまの固い国や自治体なら採用するアイディアはないでしょうが、感染対策に最も熟知しているだろう医療従事者が先ず比較的小規模で短時間の食事会を開催して安心、安全を示すのはいかがでしょうか。その際社会全体のコンセンサスを得ることが必要です。医療従事者の多くは一般の方々よりはるかに外食には気を使われて窮屈な思いをしています。以前は医療従事者というだけで、感染リスクが高いと考えられていた時期もありましたし、外食時にも人の目が気になります。ワクチンを接種した医療従事者が個室でもよいので、忘年会などの食事会をすることが社会的に認知されることの方が、ブルーインパルスを飛ばしてもらうより嬉しい医療従事者は多いはずですし、飲食店も潤います。
ワクチン接種の進度に関係なく、短く見積もって来年春まではマスク生活は続くことは、確実ではないかと思います。良心的な飲食店を守るには、私たち一人一人がこれまで以上にお酒をスマートに飲むことでしょう。パワハラやセクハラの温床となるような宴会からの脱皮が必要で、文化的成熟がスポーツでもアルコールでも現代社会に生きる我々に突き付けられた課題なのだろう。