2021年8月号 生涯体育の重要性
2021/08/11
新型コロナウイルスワクチンの接種回数が先日1億回を超えたそうです。予約システム、温度管理の不備によるワクチンの廃棄、ワクチン不足などの問題があり、国民、医療機関、自治体は振りまわされましたが、春頃に想定された接種ペースよりは順調といってよいのではないでしょうか。しかし残念ながら、ワクチン接種が感染対策のゴールにはならないようです。ワクチンを2回接種したからマスクをしなくてもよいのではないかとおっしゃる患者さんがいらっしゃいますが、現状不特定多数の方が集まる場所ではマスクが必要で、しかもきちんと着用することが重要です。鼻が出ていたり、いわゆる顎マスクは感染対策として不十分です。ワクチン接種が先行する諸外国の感染状況は参考にはなりますが、政策をそのまま採り入れるのは注意が必要です。また現在の感染爆発ともいえる状況を引き起こしているデルタ株は感染力か強く、ワクチンが無力ではないにしろ、有効性はこれまでの変異株と比較して低いとされています。
約1ヶ月前には感染が抑制された際の出口戦略すなわち、いかにコロナ前の生活に戻していけるかを徐々に論議してもいいのではないかという気運が高まってきていましたが、また振り出しに戻ってしまいました。よくテレビのニュース番組の街中インタビューで東京は1400万人位の人口がいるので、1日の感染者数が1400人といっても、10,000人に1人なので大丈夫と答えている方を観ますが、10日続けば、感染者は10倍になって、人口はかわりませんから1000人に1人が感染することになります。これを多いと考えるか少ないと考えるかは人それぞれですが、日本のこれまでの感染者数は既に100万人を超えました。現在の感染状況ですと年内に200万人達することも十分にありえます。もしそうなれば、国民の60人に1人が感染することになります。
今後も自粛生活が続きそうですが、感染予防のためとはいえ、外出を極端に制限してしまうと、高齢者を中心に体力の低下が懸念されます。私も昨年の1回目の緊急事態宣言の期間は朝のウォーキングを控えていましたが、感染をおそれるばかり運動不足になり、体力低下しては、万が一感染した場合の重症化リスクが増すばかりと考え、夏頃よりウォーキングを再開しました。また感染予防のため就寝時間が早くなりました。そして今年から1日1回体重を計るようにしました。体脂肪や肉体年齢が表示されますが、肉体年齢は40代後半からどんどん下がって最近は42才になりました。実年齢が54才ですので、マイナス12才です。どのような基準で判定されているか正確にはわかりませんが、体脂肪と筋肉量や身長から判定されているようです。開業したのが41才ですので、肉体年齢41才が現在の目標です。東京オリンピックが開催された今年、教員であった父親が昔よく言っていた、生涯体育という言葉を思いだしました。一人ひとりのライフスタイルや年齢、体力、運動技能、興味等に応じて、生涯にわたっていろいろな形でスポーツに関わりを持ち、スポーツの持つ多くの役割、意義を暮らしの中に取り入れることです。少子高齢化のすすむ21世紀の日本ではますます重要ではないでしょうか。
体力低下だけでなく、受診控えで持病を悪化させてしまうことにも注意してください。病気によっては免疫状態を低下させ、新型コロナウイルスに感染した場合の重症化に繋がります。病院、医院は感染対策も他の業種以上にしっかりしているはずですし、医療従事者や高齢者などワクチンを接種済みの比率も高く、以前のような医療機関に行くと感染するという偏見はすでに過去のものです。必要な通院は継続しましょう。