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2021年9月号 行動緩和までもうひと頑張りしましょう

2021年9月号 行動緩和までもうひと頑張りしましょう

2021/09/13

 政府の新型コロナウイルス対策本部ではワクチン接種の進展に伴う行動緩和の方針が決定しました。

 緊急事態宣言期間中の決定に慎重な意見があるものの、直ちに酒類提供やイベントの制限が緩和されるのではなく、1011月を念頭に今から準備していこうということですので、この方針には長期的な視点でみると賛成です。

 緩和は①飲食②イベント③移動④学校の4つが柱になるようです。実証実験を行い今後詳細をつめていくようですが、今後変異株の出現やワクチンの効果がいつまで有効なのかということを考え合わせての判断が必要になります。年末年始の時期に飲食やイベント、移動が緩和されていると経済活動の観点からはベストですが、感染が拡大しないためには、先ず緩和時期を決めてしまう結論ありきにはならないようにしなければGo Toキャンペーンの二の舞です。

 ワクチン接種希望者が全て2回接種が終了する年末年始でも全面解禁とするのではなく、一部制限は必要で、おそらく来年行われるであろう希望者に対するワクチン接種3回目を行い、その頃にはもう一冬越していて、その状況で全面解禁が可能かどうか判断ができる状況になっていれば、ベストなシナリオと考えます。感染力の強い変異株が出現するともちろん緩和は遅れるでしょうし、治療薬が充実すれば緩和は早まりますが、どんなに状況が好転しようともマスク生活はしばらく続きます。

 感染者数が0になることは当面ありませんから、社会が、国民が、病床数等を考慮してどの程度の感染を許容できるかになってきます。緩和した結果、感染拡大の可能性ももちろんあるわけです。その際にはブレーキの役目を果たす政策が必要になります。何事も準備は大切で日本にはロックダウンは馴染まないとはいわれますが、一度議論してみる価値はあるとは思います。自分たちの国をどういう方向にもっていくのかは、国民一人一人が正確な情報をもとに意見をもち、その意見を反映させる国民の代表(すなわち政治家)が議論した結果決まったことには、自分の支持する意見でなくとも従うのが民主国家です。

 ワクチン接種はいろいろなトラブルがありましたが、当初想定されたペースでは希望者全員に接種終了するのは年内には無理で、年度末までかかるという意見もあったくらいですから、まずまず順調であるといえます。ただ途中で想定以上にペースが上がったためワクチン不足に陥ったことは混乱をまねき、マイナスでした。またみんなが早くワクチン接種を受けたいと考えると順調にすすんでいても遅いと感じる人は必ずでます。少しでも早くワクチン接種が終了するため、私もまだ出務希望者が少なかった5月より集団接種会場に何度も出務しました。緊急事態である状況では待遇や拘束時間などは二の次、三の次であってまだ詳細がわからない段階で出務しようと決めました。平日のクリニックと御影公会堂の往復に診療時間の関係から時間的な余裕がなかっこともあり、東灘区の東端から西端までタクシー利用して経済をまわすことにも少しですが貢献しました(笑)。

 先日ある患者さんから、新型コロナウイルス感染については、みみよりつうしんを毎号読んで学んでいる。お陰ですぐに終息することはないとわかっているから緊急事態宣言が発令されてもガッカリすることがないし、つうしんの見立ては初期の頃からほとんど当たってると過分なご評価をいただきました。先のことは誰にも正確にはわからないのですが、私たち医師が学んできた医学知識と世間の動向、客観的な事実を元に判断すると、楽観的すぎるシナリオが危険であることはわかります。私は昨年同様東灘区医師会理事として医師会と区役所主催の10月開催予定地域医療シンポジウムについて、開催するか否かの意思決定の一端を担っていました。500人以上収容できる会場であることや予め10月の感染状況がわからないということだけではなく、かなり快調にワクチン接種がすすんでも10月中旬の時点で希望者全員のワクチン接種が終了している可能性は低いと考えました。そこで仮に10月に感染状況が落ち着いていても、医師会や役所の方のマンパワーがまだまだワクチン接種で必要とされることが予想されたこともあり、まだ高齢者のワクチン接種が本格的に始まる前の4月の時点で東灘区地域医療シンポジウムの中止を決めました。ワクチン未接種の方からすると、シンポジウム開催に割く時間をワクチン接種に費やして欲しいと考えるのが、自然な感情だからです。

 緊急時にはあれもこれもと欲ばることはできません。何をどう実行するかも大事ですが、何をやらないかを素早く判断することがより重要だと考えます。昨年と比べると新型コロナウイルスについてわかってきたこともたくさんありますし、私たちはワクチンという武器をえました。しかしまだまだこれまで行ってきた手洗いや消毒、換気にマスク着用といった感染対策が必要な日が続きます。自分は大丈夫だという根拠のない自信は危険です。残念なかがら第6波は必ずくるでしょうが、その波が低く小さいものになるよう対策して、共に乗り切っていきましょう。