2019年6月号 五者の精神

更新日:2019/06/11

    先日岡田准一主演映画「関ヶ原」が地上波で初放送されました。今回は「関ヶ原」に出演された俳優さんとご縁があり、当院が映画のロケ地になったお話です。時はまだ「関ヶ原」が劇場公開される前のある土曜日の午後、「あなたに逢いたい」「アシタノユメ、ヒカリノウタ」という2本の映画のワンシーンを当院で撮影しました。撮影前に掛け時計の音が入らないように外して、診察室の机はいつも以上に(?)整理整頓されました。取材が入ると机が整理整頓されると考えている当院スタッフもいますが、きっと気のせいです(笑)。カオスが閃きを生み出すと苦しいいい訳に終始しています。

    前者は、自分に好意をもってもらうため、憧れの女性に催眠術をかけてもらよう、主演俳優が悪徳精神科医師役に依頼するシーンです。現実にはあり得ない設定ですが、「白い巨塔」の買収工作のように、札束を持って診察室に主演俳優が入ってきます。札束は鞄より紙袋に入っている方が良いということになり、急遽スタッフルームの紙袋を使用しました。設定では300万円ということになっていましたが、監督が私に「先生、相場はいくらぐらいですか?」とたずねてきました。そもそも悪行に手を染めていない私に答えられない質問でしたが、「えぇっと、だいたい… そんなん答えられるか!」とお笑いの基本ノリツッコミで、映画関係者から笑いをとっておきました。これはあくまで映画のなかのフィクションの話で精神科医が催眠術をかけられるわけではないし、悪行に手を染める医師は私の周囲にはいません(笑)。

    後者の映画は医師役の俳優さんが癌の告知をするシーンです。私が普段着ることがない、白衣を俳優さんに着てもらいました。撮影中に私が現役医師として演技指導(?)することになりました。そのかいあってか、なかなかいい出来に仕上がりました。撮影中、山手幹線を走行する車の音や音声さんのお腹がグーとなる音でNGはありましたが、無事撮影終了しました。 このようにしてロケ地提供にプラスして演技指導、衣装、小道具を担当したことになります。当院スタッフも受付スタッフ役で出演する話もありましたが、誰が出演するかオーディションをする時間もなく、芸能界デビューする(?)と、当院が芸能事務所化するので見送りました(笑)。

    2本とも上映時には招待されました。都合で前者しか観れませんでしたが、最後のエンドロールに撮影協力小林整形外科クリニックとながれました。俳優さん達との打ち上げにも参加するよう誘われていましたが、「よっしゃ、今日はこれぐらいにしといたろ」と池乃めだかのギャグを心の中で叫び、劇場を後にしました。

    よく教師は五者であれといわれます。すなわち学者、役者、易者、芸者、医者です。それぞれ簡単に言うとそれぞれ、膨大な知識を身につける。相手を引きつけ、魅力する。相手の不安を取り除く。学びの場を楽しみにかえる。相手の性格やタイプを見抜くということです。開業医である私たちも五者であることが求められているのでしょう。俳優デビューしなくとも既に僕たちは役者なのである。

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